今だから学びたい論語:知るとはどういうことですか?
子曰く、由よ、汝に之を知ることを誨えんか(おしえんか)。これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり(為政第二)
訳
老先生の講義。「由君よ、君に〈知る〉とは何か、教えよう。知っていることは知っているとし、知らないことは正直に知らないとする。それが真に〈知る〉ということなのだ」(加地:168)
※加地伸行(平成16年)『論語』角川ソフィア文庫(ページ)
※由は孔子の弟子。気持ちがまっすぐで武術にたけている。
問い
- 新型コロナウィルスの拡散防止のために、様々な政府による政策が実施されています。それが正しいか正しくないかわからないか、あなたの意見はいかがでしょうか?
- 上記の問いに正解はあるとおもいますか?
- 正解はないのに、決断を下す意味がありますか?
- どちらを選びますか?
1)うまくいくかどうかわからないまま決断する人生
2)決断することができなくて、うまくいくことになっている人生
考察
新型コロナウィルス禍によって先行きが不透明で不安だということをよく耳にします。確かに未知のウィルスに人類は遭遇していて、どのようになるのかわかりません。しかし、それは未来はわからないのであって、現在はわからないことはわかっています。そればかりか、今の様子に(わからないということも含めて)わからないことがありません。すべてがはっきりしています。わからないことに身を委ねると不安になりますが、わかっていることに身を委ねるとそこに安心があります。なぜなら、どう対処するか?と考える前に今こうして存在し、対処しきっている自分がいるからです。そして今の様子に学ぶと、「これを知るをこれを知ると為し、知らざるを知らずと為す」で、知らないときはちゃんと知らないということを知っています。知らないことをいただける。すると、知らないことは知らないとするのが正直な対応だという加地の解釈と異なることになります。ここでは新しい解釈に挑んでいきます。(少名子武彦)